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執筆者の写真涼花 齋藤

3月7日、8日の活動報告

更新日:2021年3月11日

 最近の秋田は概ね晴れの日が多い。この記事を書く今日も空は青い。


 そのおかげか、秋田市には殆ど雪が残っていない。順調に春の兆しが見えていると期待したい。

 そんな雪解け時期、私たちYou&Iは再び横手市に除雪に向かった。


これが私たちのこの冬最後の”除雪ボランティア”である。



今回も、横手市大沢地区の小川豊治ぶどう園さんへ除雪に向かった。

「最後の除雪作業」と聞き、ぶどう棚の雪は大分減っているのだと、少し安堵の気持があった。さすがにあの時ほどの雪は残っていないだろう、と。


 ぶどう園に向かうと雪の壁は今だ高く残っていた。150㎝ほど。 


 しかし、大沢地区に広く見えるぶどう棚の多くは1か月前よりも、木の上の碁盤の目がしっかりと見えて、その下の葡萄の木や枝も見えている状態だった。



雪は積もるごとに層ができ、その層の下の方から溶けていくので新しく積もった雪はどんどんと重みになり木の枝にのしかかる。

 折れてしまうかもしれない木を救うために、私たちは雪かきをした。


今週ボランティアに参加してくれたのは、

秋田公立美術大学から5名、

秋田県立大学から1名、

国際教養大学から4名、

秋田市に今住む県外の大学生6名の総勢16名。

二日間、小川ぶどう園で除雪作業を行った。


【3月7日】


この日は、1か月前に「2周目の雪かき」として向かったぶどう棚の除雪をした。

ぶどう棚の四隅部分は碁盤の目のワイヤーと木が多く見えていたが棚の真ん中はまた雪に埋もれていた。それを、慣れたスコップさばきで雪をかく学生たち。


大人数がぶどう棚に一斉に入り、ただ前に雪をかき進める。やっぱりものすごく頼りになるし、仲間が周りにいることで励ましになるということを改めて感じた。



 そしてだんだんと雪をかき進めていくと、雪が減るため1か所に皆が集まるようになってくる。一つの棚の雪かきをし終えたみんなの「やったあ」という達成感のある顔が並ぶ。

 この瞬間がたまらなく素敵だ。


 ひとつの「嬉しい」をひとりでなく皆で共有しているこの感じ。


 ただ大学生活を送るだけでは味わえない瞬間だと思う。


そのあとの、次の棚にせっせと移動するみんなの背中がまたかっこいいのだ。


そしてこの日のお昼は、小川家特製の牛丼(温玉のせ)と豆腐サラダ、キノコとネギが入ったお味噌汁。これまた温かくて、午後の作業の強靭なエネルギー源となった。




この日は一日中晴れていた。

 太陽のもとでの除雪に加え、雪によるその照り返しで日焼けながら作業をした。

まぶしくて、目を開けるのが辛いときもあったがこの日の横手の景色はまた格別だった。



恒例の15時のタバコを挟み、16時に作業は終了。

 作業後に、小川家のおばあさんが色々な種類の葡萄(巨峰、シャインマスカット

、スチューベンなど‥‥)を混ぜた葡萄ジュースを頂いた。

さすが、良い葡萄が混ざっているだけに、濃く甘く、美味しい。とっても贅沢な味がした。


そして今回は、日帰りでボランティアに参加した学生も多く、この日宿泊したのは9名となった。


夜は、十文字にある「ル・カフェ・プランタニエ」さんで合宿飯を頂いた。

普段は食材にこだわりながらフランス料理を提供しているプランタニエさんのご厚意により、ボランティアの際は格安で「ザ・合宿飯」とでも言える量の夜ご飯を出していただいている。


 この日は、お皿いっぱいのビーフシチューに大きな唐揚げが2つ。リンゴ漬けが混ざったサラダとホタテ汁。飲み物は100パーセント果汁の林檎ジュース。デザートには紅茶、くるみのシフォンケーキ。贅沢すぎるほどのおいしさとボリュームで、次の日のために栄養を蓄えた。


 その後は、宿泊先のCAMOSIBAで私たちYou&Iを支えてくださっている、デリカテッセン紅玉の高橋基さんと合流。

 基さんからは、昔の横手市の生産者の様子や、横手市で果樹をする理由など沢山の濃ゆいお話をお聞きした。

 このお話も、近いうちに記事として書き残しておきたい。



【3月8日】

 この日は朝から曇り空。気温は-3度。


昨日の暖かさとは異なり、とても寒い朝だった。


ここで、寒さが襲った悲劇が


前日途中で終えたところからの除雪作業だったのだが、スコップで雪を突くとびくともしない。


寒さで雪が固まってしまったのだ。


午前中はこの雪に全員大苦戦・・・。



スコップで強く突かないと雪が崩れてくれない。けれど枝がどこにあるかわからないので枝に気を配りながらやさしく。

 今まで以上に体力と根気のいる作業だった。


仲間が周りに沢山いたから頑張ることができた。



しかし、これを1人でやらなければならない農家さんもいると考えると、雪が与えるダメージは、精神的にも体力的にも大きいものだと痛感させられる。

 「休みながらやってくださいね」と、午前中何度もこう声をかけてくださった小川さんも体力的には相当きついと仰っていた。


「あの固さの雪を一人で・・・・」


考えるだけで、胸が痛いと同時にそれを乗り越えて秋に美味しく美しい果樹を実らせる果樹農家さんは、やはりかっこいい!と改めて思った。


1か月前の新雪の中では半日で1つの棚を終わらせられる勢いでやっていたのに、今回は半日やっても3分の1ほどしか進まなかった。



 そんなこの日のお昼は、ハンバーグに、カレーライスとお味噌汁、そしていぶりがっこ。

小川家の味がつかれた体に凄く染み渡った。凄く、美味しかった。



午後からの作業は午前中の続き。


ここで一つ嬉しい出来事が。


スコップを雪に刺したら、スッと雪が崩れてくれたのだ。


「雪が柔らかくなった!!!!!!」


 固くなれば歩きやすい、普段の生活とは真逆の喜びがあった。

こんなに小さなことでみんなが喜び、「よし、やるぞ」と勢いづく。

この時代だからこそ感じるべきひとつの「幸せ」だと改めて思う。


午後からは少しずつ日が出てきて暖まり、作業のペースも上がっていった。

作業中は初めて会うもの同士が多く、学校間の違いや、自分の学校で学んだことから思う自分の考えを話し合っている声が聞こえてきた。

 自分がしゃべりながらやらずとも、どこからか聞こえてくる話だけでクスッと笑えたり、自分にとっての学びを得たりした。

 小川さんも、毎度お話が上手なうえに参加した学生全員とコミュニケーションをとっていて、私たちは凄くそれに励まされていた。ボランティアをしに来たはずなのに逆に元気をもらっていた。



この日も作業は16時で終了。

小川家にはリンゴ農園もあったようだが、来年度からはリンゴを辞めるとのこと。

その話の後に、小川りんご園最後のりんごをごちそうになった。


そしてぶどうジュースもいただいた。この日は売り物として出されているスチューベンをそのまま絞ったジュース。


この冬、どんどん大沢の葡萄にハマっていく学生。

今度は秋に、食べに行くと約束してこの冬の除雪ボランティアは終了した。




 約3か月、たくさんの大学生に参加してもらった除雪ボランティア活動。

3か月間、横手市の雪にわたしたちも立ち向かったし、農家さんも立ち向かっていた。その姿を間近で見させていただき、果樹への熱い想いをお聞きして、食に対する意識も変わった学生もいたはず。これは農家さんだけでなく、私たち学生の大きな励みにもなった。


ただ除雪に行っただけなのに。


横手の人はこれだけさせて帰さない。

美味しいごはん、美しい景色、学び・・・たくさんのものを吸収させていただいた。


 そして私たちもここでつながりを終わらせたくない。


冬に、雪に苦しむ農家さんの姿を見てきた分、春、夏、秋の果樹を育てる活き活きとした姿をみたい。その手で作られた果樹を食べに行きたい。

 

 生産者と消費者が繋がる場所がこんなにも素敵であるということを、この記事を読んでくれているあなたに、少しでも伝えたい。これからも伝えたい。


You&I-結い-は、これからも活動を続けて行きます。



私たちが受け継いでからの募金額は43件、合計575,582円となっています。たくさんのご支援、誠にありがとうございます。以下、今回の支出と残金の報告です。


●支出


 支出合計 61,950円


 内訳


・労務費(交通費含め) 20,000円


・宿泊費 25,500円


・保険料 3,500円



●残金 600,434円






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